むし歯ができてやってきた子、予防のために受診した子の母親に、おやつのことををたずねてみると、結構甘いものを何度も与えていることがあります。
「もう少し飲んだり食べたりする回数を少なくしたり、おやつの内容を果物や自然のものにしてみるなどの工夫をしてみませんか」と母親にお話をします。
するとお母さんは、傍らにいる1〜2歳そこそこの子どもに向かって
「なー、先生甘いもん食べたらあかんゆうてはるよ」としかりつけるような口調で声をかける。
賢明な皆さんはお分かりのことと思います。
子どもが悪いことをしたので、先生がたしなめているような話ですが、そうではありません。
子どもが、甘いものを食べるという、悪いことをしたわけでは決してないのです。
先生も子どもをおこるつもりなど、毛頭もありません。
お菓子やジュースを与えているのは、他ならぬ母親や、周りの大人たちなのです。
ほしがるきっかけは、はじめに誰かが子どもに与えていたはずです。
一度おいしいものの味を覚えると、ほしいものを手に入れるために、子どもはあの手この手と、いろいろ作戦を立ててきます。
泣いてもらえたら、ほしいときに泣いてみる。
ぐずってもらえたら、ほしい時にはぐずってみる。
あの手この手の作戦を立てる、これは学習効果というべきでしょう。
ところで、賢いサルは、高いところにある食べ物を取るのに、机やいすを使うことがあるようです。
これを見て人は、このサルは賢いサルですね、と評価しています。
人間の赤ちゃんは、残念ながらサルのように机を運ぶ力がありません。ですから高いところにおいしいものがあっても、自分の力でそれを取ることができません。
赤ちゃんはサルより「アホ」なのか?
(アホ=馬鹿、頭が悪いのとても軟らかい言い回しの大阪弁、大阪では悪い意味より親しみが強い)
とんでもない!! 人間の子どもなめたらあかん!!!
サルは自分の力で一生懸命取ろうとするが、人間の赤ちゃんはもっとずる賢いことを知るべきです。
自分で取れなければ、サルと違う道具を使う。大人というとても便利な道具を!
隠してあるものは嗅覚を働かせて、大人に取らせるのです。
高いところにあるものも、大人に取らせれば簡単です。
そのときの手段として、泣いてみたりぐずって見せるのです。
しかし彼らにも弱点があります。
隠してあるものはすぐ見つけるが、無ければすぐに忘れてしまうことです。
私の患者さんの経験では、3日も無ければすっかり忘れてしまうようです。
〔1週間粘った兵(つわもの)がわずかにいましたが〕
どうか皆さん、子どもの幸せのために、お菓子やジュースは隠さず、買い置きをしないようにしてください。
素直な子どもに悪知恵を働かさせないようにしてあげてください
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